世界で最も有名かつ人気のある白カビチーズ カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)。
白カビチーズと言えばカマンベール。白カビという分類をご存知ではなくてもカマンベールという言葉は知っている、というくらい日本でも有名なチーズですよね。ただ現実的に『カマンベール』という言葉単体だけが一人歩きして有名になっているのが実情で、フランスで最初に製造されたカマンベールがカマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)です。

カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)の歴史は古く、その製造の歴史は18世紀末に遡ります。そもそもカマンベールとはノルマンディー地方の村の名前で、この地域で6ヶ月以上放牧されたノルマンド種の牛の乳から造られるのがオリジナルです。マリー・アレルという女性が現在のこのチーズの原型を造ったとされています。時代的には、その開発がパリ・リジュー・カーンの鉄道の開通に合致したため急速に普及したとされていますが、美味しさに加えてその普及の秘訣の一つはパッケージにあったとされています。すなわち、円形の経木でパッケージしたため、
- 柔らかい生地のチーズが型崩れしない
- 積み重ねが出来るので運搬に有利
- 見た目が良い
と言ったメリットの存在がした事が広い地域に普及した要因と言われています。
カマンベールという名前のつくチーズは、もはやスーパーでも売られており、長期保存向けの加工をしてあるタイプ(ロングライフタイプ)というタイプのものもあります。しかしながら、本来のオリジナルカマンベールはこのカマンベール・ド・ノルマンディーであり、極めて奥深さを持った白カビチーズなのです。
広く一般に「カマンベール」と呼ばれているチーズと、カマンベール・ド・ノルマンディーの最も大きな違いは、無殺菌乳を使った伝統的な製法による所が大きいと思います。
無殺菌乳のカマンベールは、製品完成後も菌が活きているため、時と共もにどんどん性質が変わって行きます。最初は外皮も柔らかく生地もやや硬くチョーク状なのですが、熟成が進むにつれてどんどんと生地はゴツゴツとした硬さが出てきて、中身は柔らかくなって行き、最終的にはトロットロな状態になります。当然その風味は熟成と共に変化して行くわけで、熟成が究極に進んだカマンベール・ド・ノルマンディーは遅しく深みのある味わいと食感を持ったチーズになります。


🌟購入データ
- 購入日:2025年4月 購入店:恵比寿ワインショップPARTY


🌟カマンベール・ド・ノルマンディーの基本スペック
生産国 | 🇫🇷フランス |
地域 | ノルマンディー地方 |
タイプ(CPAのグループ分けによる) | 白カビ |
乳種 | 牛🐮(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低2ヶ月 |
MS/ES(固形分中に於ける脂肪分量) | 最低45% |
🌟テイスティングシート
カマンベール・ド・ノルマンディーのテイスティングシート。
外観 | 外皮 | 黄土色掛かった波打つ分厚い外皮。全体が白カビに覆われている。 |
中身 | 滑らかでキメの細かいクリーム色の生地。 | |
テクスチャー | 触感 | 表皮はゴツゴツとした感触。生地は極めて柔らかく流れ出る感じ。 |
食感 | 表皮は歯ごたえがあり若干の硬さを感じる。中身は極めて柔らかく口溶けも良い。 | |
風味 | 香り | ハッキリと感じられるマッシルームの香りとミルキーな香り。 |
味 | 濃厚でマイルドな乳の味わい。極めて深い味わいで強い個性を感じる。 |

🌟お酒とのマッチングの検討
一般的にスーパーでも販売をされているようなカマンベールであれば、一般的なおつまみとしての汎用性は高く、ビールをはじめ殆どの種類のお酒にフィットすると思います。我が国で、カマンベールと言えば居酒屋でカマンベールフライにもなって出てくるほど身近で食べやすいチーズのイメージがありますが、このカマンベール・ド・ノルマンディーはその点ワケが違います。同じ「カマンベール」という名前がついているのでイメージを引っ張られやすいですが、食べたことの無い方は、是非、起源となったこのカマンベール・ド・ノルマンディーを食べてみて下さい!カマンベールという言葉の概念が変わると思います。
言い方を変えれば、このチーズは、実は強烈な個性の持ち主なんですね。熟成による変化の振れ幅もかなり大きいです。若いうちはチョークのような質感で、若干パサついた食感もありますが、熟成するほどトロトロになってゆき味わいもとても濃厚になります。無殺菌乳を使ったチーズらしい熟成変化が深く楽しめるチーズなのです。
熟成の浅いカマンベール・ド・ノルマンディーも美味しくはありますが、やはりこのチーズの楽しみ方の醍醐味は、熟成が究極に進んで強烈な個性が出てからです。逆に言えば、私から言わせれば意味が無い。
熟成が浅いうちに食べるカマンベール・ド・ノルマンディーは、本来の持てる力を発揮させないうちに食べてしまうようなもの。それでも値段はそれなりに張りますから、どうせなら究極の味わいでお召し上がり頂きたいところです。
それを前提にお酒を検討すると、フルボディの赤ワインしか考えられないんですよね。まぁ合わなくなさそうなものもありますが、まぁナシでは無いかな?と言った非常に消極的な選択肢になってしまいますね。
やはりカマンベール・ド・ノルマンディーには、しっかりした個性と深みを持った赤ワインをチーズplus!

🌟マッチングスコア
カマンベール・ド・ノルマンディーのマッチングスコア
赤ワイン(フル) | ◎ | 赤ワイン(ライト) | ○ |
白ワイン(辛め) | △ | 白ワイン(甘め) | △ |
日本酒(淡麗) | × | 日本酒(芳醇) | × |
ビール | × | ウィスキー | △ |
バーボン | △ | ラム(ソーダ割り等) | × |
テキーラ(ソーダ割り等) | △ | ジン(ソーダ割り等) | ○ |
ウォッカ(ソーダ割り等) | △ | 芋焼酎 | × |
麦焼酎 | × | レモンサワー | ○ |

🌟カマンベール・ド・ノルマンディーの 最強のマリアージュ
やはり数種のお酒との相性を試してみたものの、やはり赤ワインとのマリアージュに匹敵するものはありませんでした。
本来ならば、今回のようなA.O.P.(原産地名称保護)を取得している伝統的チーズには、その生産地同じ地域のワインを合わせるのが間違いのないところです(いわゆるテロワール)。
まぁこれほど有名かつ定番のチーズなので、自分のようなワインの勉強をまともにやっていない人間からお勧めしてもほぼ無意味なので、私ふおるまじおが、勝手な自分の好みで選ばせて頂きました。
はい、こちらアメリカはカリフォルニア州のBread & Butterの赤ワインですね。こちらは近年我が国でもとても人気で、コスパ赤ワイン最強の一つと言われているものです。
やや重めながら口当たりは良く、またヴァニラの風味が特徴で、飲みやすいながらしっかりとした個性のある逸品です。


Bread & Butter カベルネソーヴィニオン
🌟カマンベール・ド・ノルマンディー 推奨の食べ方
カマンベール・ド・ノルマンディーほどの個性の強い風味と食感を持つチーズの場合は、本来のそのチーズが持つ風味を味わって頂きたいので、加熱等のアレンジは全く推奨できません。つまりそのまま召し上がって頂くのが最強です。
バゲットや味の弱めなクラッカーに乗せて召し上がって頂くのがお勧めですが、やや酸味のあるその時期のフレッシュなフルーツと合わせて頂くととてもバランスが良いです。
春はイチゴが多く出回りますが、色味のコントラストも合わせて、とても相性が良いです。是非、カマンベール・ド・ノルマンディはそれぞれの時期のフレッシュでさっぱりしたフルーツと召し上がってみて下さい。

🌟カマンベール Plus!

濃厚でクリーミーな白カビチーズの世界代表、カマンベール・ド・ノルマンディー。本来ならばフランス発で世界を代表する音楽を持って来たいところですね。例えば、最近で言えばDaft PunkやDavid・Guettaと言った辺りが相応しいかもしれません。例えば、 David Guettaの『Titanium』のMVはYouTubeで20億回以上の再生がされているので、スペック上はこれ以上のないnマッチングですね!ただ、なんか音が違うんですよね。カマンベール・ド・ノルマンディーの持つ深みだったり雰囲気が。
そこで、かなり色々検討しましたが、大人向けの曲のテイストとアーティストの雰囲気からSADE(シャーデー)の『Kiss of Life』をチョイスしました。SADEはイギリスのアーティストですが、生まれはナイジェリア。ナイジェリアはフランスの影響も受けていた事もあり、なんとなく背景的にも近いものを感じます(無理やり!笑)。
『Kiss of Life』のリリースは1992年、『Love Delux』というアルバムに収録されリリースされました。現在は2025年ですから33年前の曲なわけですが、今オリジナルを聴いても全くその魅力は衰えません。このように時空を超えて多くの人に支持される感じはカマンベール・ド・ノルマンディーのイメージとも重なります(無理やり!!笑笑)。
濃厚かつクリーミー。世界中の多くの大人を魅了するカマンベール・ド・ノルマンディーには大人の魅力の詰まった SADE『Kiss of Life』をチーズプラス!